

ナンテン
基源
                                    Nandina domestica Thunb.
【科名】メギ科
                                【生薬名】南天実(なんてんじつ)
                                【薬用部】果実
                            
                            関東南部地方以西、四国、九州の山地渓間暖地に自生し、また栽植される常緑低木。
                                古来に中国から薬用や鑑賞用として伝えられ庭に植えられたものが、鳥により種子が散布され野生化し各地に広がったと言われています。
                            

幹は叢生し樹高は1~2m位になり、材は黄色で薬用成分ベルベリンの特徴的な色です。
                                葉は互生し茎頂に集まり、秋に紅葉します。
                                花は初夏の5~7月に円錐花序を上に伸ばし、多数の小さな白い6弁花を開きます。
                            
果実は球形で秋から冬にかけて赤く熟しますが、ときに白色の果実をつけるものがあり、
                                これをシロナンテン(シロミナンテン)と呼んでいます。
                                「アカナンテン」と「シロナンテン」の薬効の差異が時に議論されますが、含有成分を見る限り差異はないように思われます。
                            

和名のナンテンは漢名「南天竹」や「南天燭」の南天からついており、音が「難転」、すなわち「難を転ずる」に通ずることから、
                               昔から災難よけのまじないや縁起の木とされ、妊婦が安産を祈願して床の下に敷いたり、武士が出陣の前に床に挿し勝利を祈願する際などに用いられてきました。
                                
                                生薬としては、12月から翌年の3月頃にかけて、熟した果実を採取して日干しにします。これを南天実(なんてんじつ)と呼び、成分はドメスチンを含みます。
                                よく知られた喉の薬で、その安全性から医薬品から健康食品まで幅広く用いられています。
                                風邪、百日咳、喘息に効果があるとされています。
                            
<出典>
                                牧野日本植物図鑑
                                牧野和漢薬草大図鑑 (北隆社)
                                花と樹の大事典 (柏書房)
                                薬草歳時記 (牧幸男著 ぎょうせい)
                                改訂版 汎用生薬便覧
                            
