生薬手帳Crude drug

アロエ・フェロックス

アロエ

【科名】ススキノ科
【生薬名】蘆薈(ロカイ)
【薬用部】肉厚の葉(液汁を乾燥したもの)

Aloe属はアフリカ大陸で約300種が分布していると言われていますが、日本薬局方で規定される蘆薈は、主としてAloe ferox Miller(ケープアロエ) 又はこれとAloe africana Miller又はAloe spicata Bakerとの種間雑種 (Liliaceae ユリ科)の葉から得た液汁を乾燥したもの(黒褐色又は暗褐色)が用いられます。

アロエ・アフリカーナ

ケープアロエはアフリカ大陸南部に位置する小カルー、大カルー、ナタールからオレンジ自由州にかけて広く分布している多肉質の多年草で、幼苗の葉には刺が多く、成株になると少なくなります。 日本へは1930年代に導入され、1950年代には大量の種子が入り、栽培用の小苗が多く市販されてきました。
なお、アロエ属の生薬は日本への輸入時期は不明ですが、遅くとも江戸時代には薬草として知られていたとの記録があります。

キダチアロエ

アロエ属の民間薬としては、明治初年に渡来し日本でも広く栽培されているキダチアロエ Aloe arborescens Miller(木立蘆薈)が用いられています。 「医者いらず」などと呼ばれ、液汁を火傷や切り傷に塗布します。また内用では胃腸痛、便秘など多くの効能があるとされ、胃腸病などに生食もされるほか、化粧品などにも利用されます。

葉にはアロインやアロエエモジン、バルバロインなどを含み、含有成分は少量で苦味健胃作用があり、大量では大腸を刺激して腸管蠕動を亢進する瀉下効果があるとされ、健胃薬や瀉下薬として用いられています。
しかし、多量服用により腸壁、骨盤内臓器の充血を起こすため、妊婦や生理中、腎臓病、痔などの人の服用には注意が必要となります。

アロエベラ

食用のヨーグルトなどに使われるアロエベラAloe barbadensis Millerでは、薬効成分を含む外皮を除いた苦味のない葉肉のみを使用していることから問題はないと言われています。 また、生のまま用いれば外用薬として火傷、ひび、あかぎれ、切り傷、腫れものに効果があるとされており、近年では消炎・清熱作用を応用したアロエ軟膏としても利用されています。

<出典>
牧野日本植物図鑑
牧野和漢薬草大図鑑 (北隆社)
改訂版 汎用生薬便覧
日本薬草全書
森永乳業(株)お客さま相談室「よくいただくご質問」

使用されている製品

※上記の効用はあくまで生薬に関するものであり、各製品の効能・効果を保証するものではありません。
製品に関しては、製品案内や添付文書、製品記載の効能・効果などをご確認ください。