御岳百草丸を使ったピロリ菌に関する動物実験

長野県製薬株式会社は、弊社の代表的な胃腸薬「御岳百草丸」が胃の健康にどのように寄与するのかを科学的に検証するため、京都薬科大学と共同研究を実施いたしました。

その研究論文「スナネズミにおける Helicobacter pylori 誘起胃粘膜病変に対する御岳百草丸の保護作用」¹ の研究背景をご紹介します。

研究の背景：なぜ今、ピロリ菌と生薬なのか

ヘリコバクター・ピロリ（以下、ピロリ菌）は、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、さらには胃がんの主要な原因因子として知られています。現在、治療の第一選択は複数の薬剤を組み合わせた「除菌療法」ですが、薬剤耐性菌の増加³⁻⁴や、進行した萎縮性胃炎に対する効果が限定的であること⁵など、新たなアプローチの必要性が指摘されています。

ピロリ菌が胃にダメージを与えるメカニズムの一つに、菌が産生する「ウレアーゼ」という酵素が関与しています。ピロリ菌はこの酵素を用いてアンモニアを生成し、自身の周囲の胃酸を中和して生き延びます。このアンモニア自体が、胃の粘膜を傷つける一因と考えられています²˒⁹⁻¹⁴。

一方、「御岳百草丸」は、主成分であるオウバクエキスをはじめとする生薬の複合的な働きにより、古くから胃腸の不調を改善する薬として用いられてきました。近年の研究では、御岳百草丸が試験管内（in vitro）でピロリ菌に対する抗菌作用を持つことが報告されており²³、実際の生体内（in vivo）でもその効果が期待されていました。

そこで本研究では、ヒトのピロリ菌感染モデルとして確立されているスナネズミ²⁶⁻²⁸を用い、「御岳百草丸」がピロリ菌によって引き起こされる胃粘膜の病変を抑制できるか、また、その作用機序にウレアーゼ活性の阻害が関与しているかを検証することを目的としました。

研究結果について、詳しい内容は論文をご覧ください。

論　文

薬理と治療(JPT)
JAPANESE PHARMACOLOGY & THERAPEUTICS(国際文献略号 Jpn Pharmacol Ther)
2012年5月20日発行 vol.40 no.5 別刷

スナネズミにおける Helicobacter pylori 誘起胃粘膜病変に対する御岳百草丸の保護作用

Prophylactic Effect of ONTAKEHYAKUSOGAN Against Helicobacter pylori-related Gastritis in Mongolian Gerbils

天ヶ瀬紀久子、中矢有華、岩瀬博明、高田彩、幸重徹、家高敏彰、本田康裕、浅川啓紀、竹内孝治

●ライフサイエンス出版

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研究の意義と未来への展望

今回の研究は、古くから人々に利用されてきた御岳百草丸が、現代の主要な胃疾患の原因であるピロリ菌に対して有効である可能性を、科学的に検証する一歩となりました。特に、薬剤耐性菌の増加や、既存治療法の効果が限定的となるケースが増える現代において、生薬由来の御岳百草丸のようなアプローチは、私たちが直面する胃の健康問題に対する新たな選択肢となる可能性を秘めています。

この研究で得られた知見は、御岳百草丸が胃の健康維持に寄与する新たな予防法や治療法の開発につながり、人々の健康増進に大きく貢献することでしょう。古くから伝わる知恵と現代科学の融合が、未来の私たちの健康を守る鍵となることを心から願っています。

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参考文献

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ピロリ菌に関する動物実験